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スローな化粧品

時は1980年代半ば。ローマの名所スペイン広場に、米国のハンバーガー店がオープン。この世界的なファストフード店の進出を契機に、イタリアの伝統的な食文化に危機感が生まれ、スローフード運動は始まりました。消えかかっている各地方の伝統的な食文化や食材を守ろう。質のよい素材を提供する小規模生産者を支えよう。消費者や五感の発達期にある子供たちの味覚教育に目を向けよう。そして画一的ではない「食の喜び」を取り戻そう――。

イタリアの食卓から始まったスローフード運動は、大きな話題となり、世界的な運動となったのです。国際スローフード協会の設立。パリ宣言の採択。ゆっくり日本にも浸透し始め、2004年には正式にスローフードジャパンが設立されました。

このスローフード運動をきっかけに、スローライフという言葉が生まれました。生産性、利便性のみを追及するファストライフから、のんびりゆったりした生活を送るスローライフへ。自然体でいられて充実した生活を送ること。効率は悪くても自分が満足できる時間を過ごすこと。自然や環境や地元の歴史を愛し健康的に生きること。スローライフは、スローフードほど明解な定義はありませんが、シンプルライフ、エコライフ、ロハスライフなどと通じる新しい生活文化を感じさせます。そしてこのスローライフから生まれたのが、スローコスメという考え方です。スローコスメ、ナチュラルコスメ、自然派化粧品と呼ばれ方は様々で、定義も曖昧です。ただそう呼ばれる化粧品に一致して上げられるのが「天然植物配合」ということでしょうか。

さてヘチマコロンです。大正4年生まれ、天然植物ヘチマ水配合。化粧水としてのルーツは江戸時代か室町時代か、中国かインドか・・。悠久の時間に磨かれた、何ともナチュラルな化粧品です。

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