54話
一瞬の青春。
「青春は短い。宝石の如くにしてそれを惜しめ」と言ったのは、倉田百三です。青春の輝きはメダル級。でも一瞬で去ってしまうのが青春時代。その青春時代って、いったい何歳くらいのことを指すのでしょうね。厳密な定義はありませんが、ドラマなどでは学生時代をよく描きますから、一般的には、中学生、高校生、大学生といった、13歳から20代前半の年齢でよいのではないかと思います。
「青春とは人生の期間ではなく、心の持ち方を言う」と語る人もいれば、「40歳は青春の老年であり、50歳は老年の青春である」なんて西洋のことわざもありますが、話が進まないので、あっという間に過ぎ去ってしまう、短い青春時代ということにして。青春時代とは、人生における若くて未熟で、しかしながら元気で力あふれる時代を指すこととしましょう。「ああ!青春!――人は一生に一時しかそれを所有しない。残りの年月はただそれを思い出すだけだ」と言ったのは、A.ジイドです。あなたが青春時代の真ん中にいるのなら、青春の夢に忠実であってほしい。しくじっても、間違っても、許される、やり直しができる。それが、青春の夢なのだから。何を青臭いことを言っているのかと叱られそうですが、青春話なんだから、青臭くていいのです。若いと苦いは、ちょっと似ていませんか。恋と変も似ていますね。ほろ苦くて、甘酸っぱくて、変な勘違い、それも青春の特権です。
ところで、一瞬って、どれくらいの長さでしょう。一瞬の夏、一瞬の光、一瞬の輝き、一瞬の瞬き、一瞬の油断が命取り…。一瞬とは時間では測れない短い時間、ということでしょうか。青春は一瞬。去ったら終わり。恋せよ乙女。青春GO!
なぜ青春がテーマかというと、昭和10年のヘチマコロンの広告が、「青春」をテーマにしているのです。「この一滴 一滴が 青春 そのもの」「いまは一番素肌がコロンをほしがるとき」と訴えます。一滴一滴に青春の愛おしさ、若々しさ、うるおい、元気さを見るのでしょうか。お肌に青春を取り戻してくれるヘチマコロン。もしも、一滴で一歳、若返る夢があるとしたら、これはもう毎日たっぷり使わなくては!と思うのは、青春から遠くに来てしまった証拠でしょうか・・・。ああ青春のヘチマコロン。